学習のポイント

・会社には4種類ありますが、その中で最も多い株式会社の特徴を理解しよう。
・株式会社では、株式、間接有限責任、資本が重要ポイン卜です。

①会社の種類

(1 ) 株式会社

出資者である株主を広く一般から募集し、株主は会社に対し株式の引受額を限度とした責任(有限責任)を負い(会社法104条)、会社の債権者に対し直接の責任を負わない(間接責任)会社で、大規模な会社を作ることが可能となります。
現在のわが同の会社はほとんど株式会社です。

(2)合名会社

出資者(社員という)の全員が、会社の債務について、直接、無限、連帯責任を負う会社です(会社法576条2項、580条1項)。合名会社の社員の地位を持分といいます。直接責任とは、会社債権者から直接請求を受けると社員個人が責任を負うことです。無限責任とは、社員個人が会社債権者に対して債務が完済されるまで債務を無限に負担することです。連帯責任とは、社員が2人以上いても、各々の社員が全額について支払いの責任を負うことです。
社員は、会社の業務を執行し会社を代表することができます(会社法590条、599条)。

(3)合資会社

合資会社は、無限責任社員と有限責任社員で構成されている会社です(会社法576条3項)。無限責任社以は合名会社の社只と同じ権利義務を負います(会社法580条1項)。有限責任社員は、会社の債務について直接、連帯責任を負いますが、出資額を限度とした責任を負うにすぎません(会社法580条2項)。

(4)合同会社

社員は、原則として、会社の偵務について関節有限責任を負う会社です。

(5)持分会社

合名会社、合資会社、合同会社をまとめて持分会社といいます。

②株式会社のしくみ

(1 ) 株式会社のしくみと特徴

① 株式

会社の所有者である株主(社員)の地位を表すものです。

② 間接有限責任

株主は会社債権者に対して直接の責任を負わず、会社に対する出資額に対して責任を負うという意味で、間接責任です。しかも、出資額を限度とする責任を負うにすぎず無限に責任を負うわけではないので、無限責任ではなく有限責任です。

③ 株式譲渡自由の原則

株式会社では、出資された額の払戻しは認められませんが、原則として、株式の譲渡を認め、株式取得にかかった費用を回収できます。

④ 資本

会社財産を確保するために設けられた計算上の基準金額で具体的な財産ではありません。会社の財産を確保するためのものです。

⑤ 所有と経営の分離

株式会社は、会社の所有者の機関である株主総会と、経営者側の取締役、取締役会、代表取締役、監査役など機能、権限が分化されています。

(2)株主と会社

① 株主平等の原則

株主の地位に基づく法律関係は、原則としてその所有する株式の内容及び数に応じて平等に取り扱われるという原則です(会社法109条1項)。

② 株主の権利

( i )自益権

株主が会社に対して、配当などの経済的利益を受けることができる権利です。

(ii ) 共益権

株主が会社の経営に参加し業務執行を監督する権利です。たとえば、議決権などです。

③株式会社の種類

(1)公開会社

公開会社は、発行する全部または一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいいます(会社法2条5号)。すべての株式に譲渡制限を付けている会社以外の会社です。株式が上場されているか否かは問いません。

(2)大会社

① 趣旨

資本または負債の額が一定額以上の会社は、会社債権者などの利害関係人が多くなり、社会に与える影響も大きく、他の株式会社と異なる規律に従わなければなりません。

② 要件

大会社とは、次のいずれかに該当する会社のことです(会社法2条6項)。

( i )最終事業年度における貸借対照表に資本金として計上した額が、5億円以上であること
(ii )最終事業年度における貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上であること





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