学習のポイント

・本資格試験における民法の重要性とその基本原理を理解することで今後の学習に役立てよう。
・財産権の種類とその特徴について理解しよう。

①民法の基本原理

(1)権利能力平等の原則

伺人はすべて生まれながらにして平等に権利の主体になることができるという原則。ただし、偶人以外にも会社や各種の同体も権利の主体となることができます。「権利の主体」とは、法律関係の権利・義務を負う者という立味です。

(2)私的自治の原則

個人や法人は、私的な法律関係を白己の意思に基づいて自由に決めることができるという原則。特に、取引の場面では、契約自由の原則として表されます。具体的には、誰を相手方とするか、契約をするか否か、契約内容をどのようにするかについて、当事者間で自由に定めることができるというものです。
しかし、私的自治の原則は、立場の弱い者(弱者)を保護するために修正する必要が生じてきます。たとえば、企業と消費者における消費者、大企業と中小企業における中小企業のような弱者に対しては、当事者の合意だけに任せず、強行法規による修正が為される場合があります。

(3)私有財産制(所有権絶対の原則とその修正)

財産権は個人が物を全面的に支配する権利で、他人や同家によっても侵すことができない権利として尊重され(憲法29条1項)、私有財産制を保障しています。
ただ、財産権は公共の福祉により制約され(憲法29条2項)、所有権絶対の原則も修正されています。

(4)過失責任主義(過失責任の原則ともいう)

ある人が他人に損害を与えた場合、故意(わざと)または過失(不注意で)がなければ損害賠償’の責任を負わないという考え方で、これによって、企業の自由な経済活動が可能となります。
しかし、企業が人体に危害を与える危険性のある活動によって多くの利益を受けているような場合、結果として、被害(損害)を受ける多くの人々が存在することがあります。このようなとき、被害者を救済しなければ不公平になります。
そこで、被害者を救済し不公平をなくすための考え万として無過失責任主義があります。危険性のある活動によって多くの利益を得ている場合、過失がなくとも責任(損害賠償責任)を負うという考え方です。

②財産権

(1 ) 財産権とそれ以外の権利

財産的な価値を対象とする権利を財産権といい、民法上では、物権と債権に分けられます。権利には、財産権以外の権利として、非財産権と社員権があります。
非財産権は身分権(親権など)や人格権(プライバシーの権利など)があり、社員権とは株主としての地位を意味します。

(2)物権

① 物権の中では所有権が代表的

誰に対しても主張できる権利で所有権が代表的なものです。たとえば、このバッグは自分の持ち物であると主張する場合。また、売買契約によって、特定の商品が売主から買主の手元に移転するとき、買主は誰に対しでも取得した商品の所有権を主張する場合などです。なお、土地や建物の取得で買主やその他の取得者に所有権が帰属する場合、買主は取得した土地や建物の所有権を誰に対しでも主張するには登記が必要です。

②所有権以外の物権

(i ) 用益物権

他人の土地を利用して使用収益をすることができる物権で、地上権、地役権などがあります。

(ii )担保物権

債権を担保するために物の交換価値に着目した物権で、抵当権が代表的なもので、他に質権、留置権、先取特権があります。たとえば、土地や建物を担保に銀行から融資を受けるという場合、ほとんど抵当権が利用されます。

(3)債権

特定の人に対してのみ特定の行為を主張できる権利です。たとえば、宝石の売買契約において売主が買主に対し商品の代金の支払いを請求する権利や金融機関が100万円を貸し付け返済期日に返済を請求する権利などです。請求する者が債権者、請求される者が債務者です。債権者は、物権と異なり、誰にでも特定の行為を主張できるというものではありません。
また、債権者が多数で、債務者が全額の支払いができない場合、たとえば、債権者ABCが各々100万円ずつDに貸していたが、Dは200万円しか弁済できないとき、ABCは各自、抵当権などの担保物権を有していない限り、自分の弁済額だけ全額の弁済を受けるということはできません。200万円を3人で分配した金額の弁済を受けられるにすぎません。

(4)その他の権利(知的財産権)

個人や企業が知的な活動によって創造されたものが、財産権の1つとして保護するに値する場合を知的財産権といいます。物権でも債権でもありません。知的財産権には、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権などがあります。代表的なものとして、特許権があり、特許権が認められると、特許発明した物から得られる利益を独占的に取得できます。他の知的財産権も同様に考えることができます。

 





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