学習のポイント

・法律の分類方法として、形式による分類と内容による分類があることを理解しよう。

①法律の意味

法律は社会規範の1つですが、その内容が国家によって強制的に実現される点に特徴があります。分類の方法には以下のものがあります。

②法律の「形式」による分類

(1 ) 成文法と不文法(文章の形式で表されているか否かの区別)

① 成文法

成文法は、法の内容が文章で表されている法律で、たとえば、民法、会社法、憲法があります。六法全書に収められているもので、国会などの立法機関によって制定され
たものをいいます。

② 不文法

不文法は、法の内容が文章で表されていない法律で、たとえば、慣習法、判例法などです。慣習法は慣習の中で法的な効力を認められたもので、判例法は、ある裁判所の判決が、以後の類似の事件の判断基準にされるとき、法的効力を有するに至ったものをいいます。

(2)一般法と特別法(適用範囲が限定されているか否かの区別)

① 一般法

一般法は、適用範囲が限定されず、広く一般に適用される法律です。対象となる人、場所、事柄など限定されずに適用される法律です。私人間の取引一般に適
用される民法が代表例で、その他、刑法があります。

② 特別法

特別法は、適用範囲が限定されている法律です。対象となる人、場所、事柄などが限定されている法律です。会社や企業の取引に適用される会社法や商法が特別法の代表例です。

③ 一般法と特別法の関係

特別法は、一般法に優先して適用されます。たとえば、民法(一般法)と会社法、商法、借地借家法、労働法(特別法)は一般法と特別法の関係の具体例です。
特別法である商法、会社法、借地借家法、労働法は一般法である民法に優先して適用されます。

(3)強行法規と任意法規

① 強行法規

強行法規は、当事者間で法律の内容と異なった内容を定めることができない規定で、当事者の意思に関係なく適用が強制されます。

② 任意法規

任意法規は、当事者間で法律の内容と異なった内容を定めることができる規定。
当事者が任意法規と異なる内容を定めたときは、その定めが任意法規に優先して適用されます。

③ 強行法規と任意法規の区別

両者の区別は、法令ごとにではなく各々の規定ごとに判断されます。たとえば、民法はすべて任意法規、会社法はすべて強行法規という区別ではなく、民法の物権は所有権や抵当権を規定し強行法規が多く、債権に関する規定は任意法規が多いといえます。債権では契約自由の原則が適用されることが多いからです。会社法は強行法規が多いです。

③法律の内容による分類

(1)公法と私法

法の規律を受ける者による区別で、ビジネス実務法務に関係するのは私法です。

① 公法

公法は、法律の適用を受ける当事者の双方または一方が国、地方公共団体である場合に適用される法律で、憲法、刑法、行政法などがあります。

② 私法

私法は、法律の適用を受ける当事者の双方が私人である場合に適用される法律で、民法、商法などがあります。

③公法と私法の関係

公法と私法の区別は、明確に区別するべき基準があるわけではなく、現在では徐々にあいまいになってきています。

(2)民事法と刑事法

① 民事法

民事法は、私人間の紛争を解決する民事裁判の基準となる法律で、たとえば、民法、商法、会社法、民事訴訟法があります。

② 刑事法

刑事法は、国家が国民に対し刑罰を与えるための刑事裁判の基準となる法律で、たとえば、刑法、刑事訴訟法があります。

(3)実体法と手続法

① 実体法

実体法は、権利や義務の発生、変更、消滅などの法律関係の内容を定める法律で、たとえば、民法、刑法、商法などがあります。

② 手続法

手続法は、実体法の内容を実現するための手続を定める法律で、民事訴訟法、刑事訴訟法などがあります。

③実体法と手続法の関係

たとえば、ある人が、交通事故によって負傷し、財産上の損害を受けた場合、実体法である民法は、財産上の損害を受けた者(被害者)が加害者に対して損害賠償請求権を有することができると規定しています。これに対して、手続法である民事訴訟法は、被害者が裁判で加害者に損害賠償を請求する手続を規定しています。





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