学習のポイント

・企業の活動、取引については、一般私法である民法より特別法である商法、会社法が適用されることを理解しよう。
・商人、商行為、商業登記、商号の基本的内容を理解しよう。

① 企業の取引活動

(1 )商法、会社法の適用

企業の活動や取引については、民法の特別法として商法、会社法が適用されます。商取引は効率的にかつ迅速に行われ、同種の手続が反復して、また一括して為され、民法では十分ではないからです。

(2)商人

商人は、自己の名をもって商行為をすることを業とする者のこと(商法4条1項)。「自己の名をもって」とは自分が権利・義務の主体になること。「業とする者」とは、営利の目的で継続して同種の行為を反復して行う者という意味です。
たとえば、転売して利益を得る目的で、土地の売買を継続して行っている者など。商人には個人と法人があり、法人は会社法の適用を受けます。

(3)商行為

① 絶対的商行為

誰が行っても常に商行為とされるものをいい、営利性が強いので、行為の主体は商人か否かを問いません。たとえば、売却して利益を得るために動産、不動産有価証券を有償で取得する行為などです(商法501条)。

② 営業的商行為

営業として営まれたとき商行為とされるものです。たとえば、賃貸して利益を得るために動産、不動産を有償で取得する行為など(商法502条)、反復して為される必要があります。
※ ①と②を基本的商行為といいます。

③ 附属的商行為

商人が常業のためにする補助的な行為(商法503条1項)。たとえば、不動産の売却や賃貸を業としている会社が運転資金を銀行から借り入れる行為などがあります。商人の行為は営業のためにすると推定されます(尚法503条2項)。

④ 一方的商行為

当事者の一方にのみ商行為となる行為は、商法が当事者の双方に適用されます(商法3 条1 項) 。たとえば、客がデパートで服を買った場合、デパートが服を販売するのは商行為だが客が服を買う行為は商行為ではありません。この場合も商法はデパートと客の両者に適用されます。また、当事者の一方が2人以上いる場合も、その1人のために商行為となる行為については、他の全員に商行為を適用します(商法3条2項)。

②商業登記精度

(1)商業登記

商業登記とは、商人についての商法上の公示方法で、商号、規模、代表取締役や支配人の氏名など、営業に関する重要な事項を公示して商業登記簿に記録する登記のことです。大規模かつ迅速に行われる企業の営業活動が円滑に安全に為されることを確保する意味があります。会社の本店所在地の登記所に備え付けられます。
商業登記は権利義務の主体ごとに登記簿に分けて記録されます。不動産登記簿が権利の客体(土地や建物)ごとに作成されるのと大きな違いがあります。

(2)登記事項

登記事項は法律で定められていますが、たとえば、株式会社の設立の登記事項の主なものは以下のとおりです(会社法911条3項)。

① 会社の目的 ②商号 ③本店及び支店の所在場所 ④資本金の額
⑤発行できる株式の総数 ⑥取締役の氏名 ⑦代表取締役の氏名・住所

(3)効力

① 一般的効力

登記事項については、登記がない限り善意の第三者に主張できません。たとえば、代表取締役は登記事項であり、当該代表取締役が解任された場合には解任の登記をする必要がありますが、解任の登記をする前に当該代表取締役であった者が善意の第三者と売買契約を結んだ場合、売買契約は有効でその効果は会社に帰属します。これに反し、解任の登記をしてあれば、その後に蕎意の第三者が出現し売買契約が結ぼれても会社は責任を負う必要はありません。

② 特別な効力

( i )登記が成立要件の場合

会社が成立するためには、本店の所在地で設立の登記をする必要があります(会社法49条、579条)。

( ii )登記が対抗要件の場合

商号の譲渡は登記をすることにより、第三者に対抗できます(商法15条2項)。

③商号

(1)商号とは

商人が営業活動をする場合に自分を表すために使う名称で、たとえば、「甲株式会社」、「乙商店」などです。

(2)商号自由の原則

商人は、原則として、商号を自由に選ぶことができます。

(3)商号単一の原則

1個の営業に関しては、商号の数は原則として1個に限られます。

(4)会社の商号

会社は、商号の中に、その会社の種類を示す文字を用いなければなりません(会社法6条2項)。具体的には、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社の文字を商号の中に入れる必要があります。これに反し、会社でない者は商号の中に会社であることを示す文字を使用することはできません。なお、会社は、個人商人と異なり、設立時に商号を必ず登記しなければなりません。

(5)他の商人と間違われるおそれのある商号の使用の禁止

不正の目的をもって、他の商人または会社であると間違われるおそれのある名称または商号を使用することはできません。これに違反すると、営業上の利益を侵害されたか、または侵害されるおそれのある商人または会社は、違反する者に対して侵害の停止または予防を請求することができます。





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