学習のポイント

・特定商取引法は、訪問販売を中心に学習しよう。
・割賦販売法は、どのような販売形態であるのかを把握しよう。

①特定商取引法

特定商取引を公正にするとともに、購入者などが受けることのある損害の防止を図ることにより、購入者などの利益を保護し、あわせて商品などの流通及び役務の提供を適正かつ円滑にすることを目的とします(特定商取引法1条)。

・訪問販売 ・連鎖販売取引 ・訪問購入
・通信販売 ・特定継続的役務提供に係る取引
・電話勧誘販売に係る取引 ・業務提供誘引販売取引

②訪問販売

販売事業者または役務の提供の事業を営む者が、営業所など以外の場所において、売買契約の申込みを受け、もしくは売買契約を締結して行う商品もしくは指定権利の販売をする、または役務を有償で提供する契約の申込みを受け、もしくは役務提供契約を締結して行なう役務の提供をすることをいいます(特定商取引法2条1項)。

(1 ) 書面の交付

訪問販売の申込みを受けたときは、申込みの内容を記載した書面を、直ちに、申込みをした者に交付しなければなりません(特定商取引法4条)。

(2)勧誘の禁止(特定商取引法3条の2第2項)

契約を締結しない旨の意思を表示した者に対して勧誘をしてはなりません。

(3)契約の申込みの撤回(クーリング・オフ、特定商取引法9条)

  • 誰が- 販売事業者または役務提供事業者が
  • どこで- 営業所など以外の場所において
  • 何をする― 契約の申込みを受けるまたは契約の締結をする

この場合には、申込者・購入者は、契約の申込みの撤回または契約の解除(クーリング・オフ)を行なうことができます。

  • 方法- 書面による
  • 期間- クーリング・オフができる旨を記載した書面を受領した日から起算して8日を経過するまで
  • 効力発生 -書面を発したとき

③通信販売

販売事業者または役務提供事業者が、郵便その他の主務省令で定める方法により、売買契約または役務提供契約の申込みを受けて行なう商品もしくは指定権利の販売または役務の提供であって、電話勧誘販売に該当しないものをいいます。

(1) 承諾をしていない者に対する電子メール広告の提供の禁止

販売業者または役務提供事業者は、原則として、通信販売をする場合の商品もしくは指定権利の販売条件または役務の提供条件について、相手方となる者の承諾を得ないで電子メール広告をしてはなりません(特定商取引法12条の3)。

(2)通信販売における契約の解除(クーリング・オフ、特定商取引法15条の2)

訪問販売と同様に、申込者または購入者はクーリング・オフができます。
ただし、販売業者が、クーリング・オフを制限する特約を広告に表示していた場合は、クーリング・オフが制約されます。

④電話勧誘販売

販売業者または役務提供事業者が、電話をかけ、または政令で定める方法により電話をかけさせ、その電話において行う売買契約または役務提供契約の締結についての勧誘により、電話勧誘顧客から売買契約または役務提供契約の申込みを郵便などにより受け、もしくは電話勧誘顧客と売買契約または役務提供契約を郵便などにより締結して行う商品もしくは指定権利の販売または役務の提供をいいます(特定商取引法2条3項)。

(1) 書面の交付

販売業者または役務提供事業者は、電話勧誘顧客から売買契約または役務提供契約の申込みを郵便などにより受けたときは、遅滞なく、申込みの内容を記載した書面を、申込みをした者に交付しなければなりません(特定商取引法18条)。

(2)勧誘の禁止

契約を締結しない旨の意思を表示した者に対して勧誘をしてはなりません(特定商取引法 17条)。

⑤割賦販売法

割賦販売とは、購入者から商品もしくは権利の代金を、または役務の提供を受ける者から役務の対価を2ヵ月以上の期間にわたり、かつ、3回以上に分割して受領することを条件として指定商品もしくは指定権利を販売し、または指定役務を提供することをいいます(割賦販売法2条1項1号)。

(1)書面の交付

割賦販売業者は、割賦販売の方法により指定商品もしくは指定権利を販売する契約または指定役務を提供する契約を締結したときは、遅滞なく、契約内容を明らかにする書面を購入者または役務の提供を受ける者に交付しなければなりません(割賦販売法4条)。

(2)契約解除の制限

割賦販売業者は、賦払金の支払いの義務が履行されない場合において、20日以上の相当な期間を定めてその支払を書面で催告し、その期間内にその義務が履行されないときでなければ、賦払金の支払いの遅滞を理由として、契約を解除し、または支払時期の到来していない賦払金の支払いを請求することはできません(割賦販売法5条)。

(3)所有権に関する推定

割賦販売の方法により販売された指定商品(耐久性を有するものとして政令で定めるものに限る。)の所有権は、賦払金の全部の支払の義務が履行される時までは、割賦販売業者に留保されたものと推定されます(割賦販売法7条)。





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